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雪女 雪代
6月16日読了時間: 6分
第十八話『容疑者』
捜査令状とは、捜査機関や法執行機関が特定の行動を取る為に必要な法的文書だ。 令状を取得する為に、まずは特定の行動を取る必要性を文書化する必要がある。 この文書には捜査の目的、根拠となる証拠、及び取りたい行動に関する情報を記さなければいけない。...
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雪女 雪代
6月16日読了時間: 5分
第十七話『ママ』
内田翔太くんの家に辿り着いた時には日が暮れ始めていた。辺りの家がポツポツと灯りを点け始めている。そろそろ夕飯の支度に入り始めている家もあるだろう。あまりグズグズしていると迷惑を掛けてしまう。わたしは意を決してインターホンのボタンを押した。...
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雪女 雪代
6月16日読了時間: 7分
第十六話『怪物』
目的の刑務所に辿り着くと、佐伯は面会受付窓口へ向かった。受刑者との面会には事前予約が必要となるが、その受刑者を逮捕した捜査官ならば多少の融通が効く。 署や刑務所の管理機関に連絡を入れ、『一度解決した事件とは言え、不可解な点が残っており、受刑者に話を聞く必要がある』と半ば強引...
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雪女 雪代
6月16日読了時間: 6分
第十五話『名探偵お姉ちゃん』
『うっちゃん』こと、内田翔太くんの家は伊山町一丁目の坂の上にある。その坂はわたしが幼い頃から何百回も往復した事がある道だ。坂の上には小学校がある。蛹内市立伊山小学校。わたしの母校であり、ゆうちゃんが通っていた小学校だ。歩き慣れた道なのに、一歩進む毎に足が重くなっていく。...
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雪女 雪代
6月16日読了時間: 6分
第十四話『女子少年院』
車を走らせる事一時間弱、佐伯は目的の女子少年院に辿り着いた。 そこは閑静な住宅街の一画にあり、とても猟奇殺人鬼を収監していた場所とは思えない。 事前にアポイントメントを取っておいたおかげですぐに院長と会う事が出来た。 「こんにちは」 「お世話になります」...
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雪女 雪代
6月16日読了時間: 6分
第十三話『蓬莱館』
蓬莱館は不思議な建物だった。 「中華風……?」 「そんな感じだな」 赤い柱が立ち並び、屋根瓦の端が反り返っている。 中に入ってみると、外観とは裏腹にサイケデリックな空間が広がっていた。 「なんか、不思議な空間……」 天井からは赤やオレンジ、緑、青のランプが吊り下げられていて...
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雪女 雪代
6月16日読了時間: 6分
第十二話『猟奇殺人』
証拠品保管所で該当の資料を集めると、佐伯は最初の事件に目を通し始めた。 「『岩瀬一家殺害事件』。当時、中学2年生だった羽村真理恵がクラスメイトの岩瀬灯里とその弟の元也、母の翔子、父の孝太郎を殺害。凶器は刃渡り16cmの出刃包丁。通報は真理恵自身によるものであり、捜査員が到着...
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雪女 雪代
6月16日読了時間: 7分
第十一話『シャラク』
レオンの店員からは目ぼしい情報を得る事は出来なかった。彼らは全員がアルバイトで、毎日たくさんのお客さんの相手をしているから、余程の常連や問題行動を起こした人以外の顔はあまり覚えていないとの事だ。社内規定という物があり、監視カメラを見せてもらう事も出来なかった。...
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雪女 雪代
6月16日読了時間: 8分
第十話『過去の凶悪事件』
佐伯は久方振りに蛹内署へ戻って来た。ここ数日は昼夜を問わず街中を駆けずり回っていたから、まるで我が家に帰って来たかのような安心感を覚え、足取りも僅かに軽くなった。 佐伯が所属しているのは捜査一課の組織犯罪対策係、通称・組対係だ。普段は暴力団やマフィアなどが関与している組織犯...
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雪女 雪代
6月16日読了時間: 7分
第九話『ウィザード・ブレイバー』
レオンは中古品のゲームや漫画を主に取り扱っているお店だ。わたし自身は入った事がない。だから、ここでウィザード・ブレイブが販売されているなんて知らなかった。 「来たは良いけど、ここには来てないと思うなぁ」 「そうか? 家から近いし、むしろ通ってそうじゃね?」...
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雪女 雪代
6月16日読了時間: 5分
第八話『進展』
捜査範囲の拡大と共に本庁から多数の捜査員が増員された。そして、同時に多数の警察犬によるローラー作戦がスタートした。 伊山小学校を中心に街を虱潰しに捜索していく予定になっていたが、スタートと同時にシェパードの大五郎号が現場の前の家の壁に向かって走り始めた。 「大五郎!?」...
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6月16日読了時間: 10分
第七話『ウィザード・ブレイブ』
双六堂の中に入ると耳にモーター音が聞こえて来た。どうやら、ミニ四駆のサーキットを使用している子供達が居るようだ。そっちは見ないように気をつけながら奥へ向かっていく。 板張りの床が僅かに軋む音がする。これはわざと鳴るようにしているらしい。入り口からお客さんが入って来た時に気付...
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6月16日読了時間: 6分
第六話『捜査範囲拡大』
蛹内署に設置された特別捜査本部。その責任者に任命された田所管理官のデスクには、散らかった書類や捜査報告書が山積みになっていた。彼の眉間には深い皺が寄り、手には不安を抱えた筆致で書かれたメモが握られている。フロアの電話は途切れる事なく鳴り続け、捜査員達からの報告や要請が殺到し...
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雪女 雪代
6月16日読了時間: 5分
第五話『足跡』
まず、ゆうちゃんの足跡を辿ろうと思う。 ―――― いーちゃん|家《ち》にあそびに行ってくる! ゆうちゃんはそう言い残して家を出た。いーちゃんはクラスメイトの|飯野博之《いいのひろゆき》くんの事だ。彼の家は少し離れているけれど、大通りを渡る必要がない場所にある。ゆうちゃんはい...
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雪女 雪代
6月16日読了時間: 8分
第四話『捜査』
佐伯亮太と立花警部が事件現場に辿り着いたのは時計の針が20時を超えた頃だった。 聞き知ってはいたものの、事件現場の周辺に視線を巡らせると奇妙に感じる。 伊山小学校は住宅街のど真ん中にあり、少し離れた所にはコンビニや深夜まで営業している居酒屋もある。死体が発見された午前4時頃...
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雪女 雪代
6月16日読了時間: 6分
第三話『無くした体』
第三話『無くした体』 ゆうちゃんの死がテレビで報じられた日、家の電話が鳴った。打ち拉がれている両親の代わりに出たわたしの耳に飛び込んで来たのは『幼い子を一人で外出させるなんて無責任にも程がある! 息子を死なせたのはお前達だ!』という言葉だった。...
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雪女 雪代
6月16日読了時間: 5分
第二話『ベテランと若手』
第二話『ベテランと若手』 死体は|蛹内駅《ゆないえき》から東に500メートルの位置で発見された。そこは被害者が通う蛹内市立伊山小学校の前だった。死体は首から下がなく、頭部だけが置かれていた。発見までに数時間が経過していたようで、頬や頭部の一部は損壊しており、他の部位にも野生...
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雪女 雪代
6月16日読了時間: 4分
第一話『殺された弟』
第一話『殺された少年』 わたしは人でなしだ。みんなは『そんな事ないよ』と言ってくれるけれど、わたし自身は分かっている。だって、わたしは弟が死んだ事を悲しむ事が出来なかった。 「……わたし、ゆうちゃんの事を好きじゃなかったのかな?」 「バカ言うな。そんな筈ないだろ」...
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雪女 雪代
6月16日読了時間: 2分
プロローグ『とある人物の独白』
私は小説が好きだ。読んでいると心を揺さぶられて、様々な感情が浮かんで来るからだ。 ミステリを読んでいる時は事件に怯え、被害者を哀れみ、犯人に対する怒りが湧いてくる。 恋愛小説を読んでいる時は可憐な女性や素敵な男性に恋をする。...
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